JIJ、「Qamomile(カモミール)」を量子プログラミング言語へと拡張

2026/8/3

Pythonを用いた型付きの量子プログラムの記述、リソース推定と複数量子SDKへの変換・実行を実現し、ユーザーフレンドリーな量子アルゴリズム開発を支援

株式会社JIJ(ジェイアイジェイ、本社:東京都港区、代表取締役CEO:山城 悠、以下「JIJ」)は、Pythonで記述できる量子計算のためのプログラミング言語「Qamomile(カモミール)」の新バージョン v0.14.0 を、2026年7月27日に公開しました。

Qamomileは、量子最適化向けライブラリとして始まり、現在は幅広い量子アルゴリズムの開発を支える汎用的な量子プログラミング基盤へと発展しています。

Qamomileでは、自然な古典制御フローやあらかじめ用意された量子アルゴリズムなどを組み合わせ、型安全な量子プログラムを記述できます。記述した量子プログラムは、複数の量子SDKや中間表現へ変換・実行が可能です。また、同じプログラムからリソース推定も行えます。これにより、ユーザーは量子アルゴリズムの記述からリソース推定、実機での実行までをスムーズに進めることができます。

開発背景

量子ハードウェアの進歩に伴い、現在利用可能なデバイスを用いた実機での量子アルゴリズム開発が進んでいます。一方、誤り耐性量子計算機の実現に向けた研究開発も進展しており、その活用可能性についても研究が進められています。

こうした技術発展を背景に、量子アルゴリズムの実行に必要な量子ビット数や量子ゲート数を見積もるリソース推定の重要性が高まっています。実世界での応用を見据えた量子アルゴリズム開発では、実機での実行とリソース推定の双方を進める必要があり、同じ量子プログラムをもとに両方を扱えるソフトウェアが重要となります。また,実世界での応用を見据えた量子アルゴリズムの開発には、量子計算や量子アルゴリズムそのものに関する高度な専門知識が求められます。

Qamomileは、こうした実装上の複雑さを軽減し、量子計算の専門家・非専門家を問わず、比較的容易に量子計算のアプリケーション開発を可能にすることを目標としています。

Qamomileの主な特徴

1. Estimate Your Quantum Resource
量子プログラムから量子ビット数やゲート数を代数的に算出できます。これにより、規模が大きくなったときにリソースがどう増えるかを直感的に把握でき、アルゴリズムの規模感や、現在の量子ハードウェアで扱える問題のサイズを検討できます。

2. Write Once, Run Anywhere
一つの量子プログラムを、目的に応じて複数の量子SDK・中間表現へ変換・実行できます。CUDA-QやQiskitへの変換に対応しており,同じの量子プログラムを大規模シミュレーションや実機実行などに利用できます。この他、QURI Parts、HUGR、qBraid、Qurationへの変換もサポートしています。

この変換・実行機能を、前述のリソース推定機能と組み合わせることで、同じ量子プログラムをリソース推定と実行の双方に用いることができます。これにより、「推定用」と「実行用」の回路を別々に管理する必要がなく、リソース推定から実行までの開発を、共通のプログラムを軸に進めやすくなります。

3. Write Pythonic Quantum Program
型システムやPythonのネイティブな構文に従った古典制御フローを導入しています。型システムにより、量子プログラミングにおいて許されない操作の早期発見やユーザーにわかりやすい修正方法の提示を行います。また、Pythonネイティブなifやwhile文の中で量子回路の測定値に応じた条件を使うことができます。これにより、ユーザーはPythonライクに量子プログラムを記述することができます。

4. Use Built-in Quantum Algorithms
量子アルゴリズム開発で頻繁に用いられるアルゴリズムを組み込み関数として用意しており、ユーザーはそれらを一から実装することなく、自身の量子アルゴリズム開発を進めることができます。例えば、多くの量子アルゴリズムの基盤として使われているQSVT(量子特異値変換)アルゴリズムなどを用意しており、ユーザーはこの関数を呼び出すだけで、自身のアルゴリズムのサブルーティンとして利用できます。

代表取締役CEO 山城悠 コメント

今回のアップデートでは、量子計算特有のルールをプログラミング言語の型として表現し、誤った操作を未然に防ぐための基盤を実現しました。これは、量子計算を一部の専門家だけが扱うものから、より多くの人がプログラミングを通じて活用できるものへと変えていくための、大きな一歩です。

今後は、言語が量子計算のルールを支えることで、利用者がその複雑さを意識しなくても、安心して量子アルゴリズムを構築できる環境へとQamomileを発展させていきます。量子計算を「理解してから使う」技術にとどめず、「プログラミングによって使いこなせる」技術へと進化させることを目指します。

提供概要

採用情報

JIJでは、量子技術の実用化を支えるソフトウェアの研究開発に取り組む、量子コンピューティング ソフトウェアエンジニアを募集しています。量子アルゴリズムの実装・最適化、量子コンピューティングライブラリの開発、量子ソフトウェアと古典ソフトウェアの統合などに関心をお持ちの方は、ぜひ募集要項をご覧ください。

募集要項:
https://herp.careers/v1/jijhirejp/XO9SHQSfoMuw

株式会社JIJ(ジェイアイジェイ)について

株式会社JIJは、量子技術と数理最適化を活用し、AIによるモデリング支援も備えた最適化プラットフォームを開発・提供しています。製造、エネルギー、物流・交通、通信、材料開発、公共分野などにおける複雑な計画・最適化課題に対し、技術開発と実用化支援に取り組んでいます。東京に本社を置き、英国、ドイツ、米国にも事業基盤を展開しています。また、European Quantum Industry Consortium(QuIC)やUKQuantumなどの量子産業団体に加盟し、海外の量子産業エコシステムにおいても積極的に活動しています。

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