ストーリー形式:プロジェクト立ち上げ

架空の電力会社「村上電力」を題材に、プロジェクトの立ち上げ方をストーリー形式でこちらにまとめています。
 
  1. 実務担当者(山田マネージャー)
      • 山田マネージャーは、送配電の運用計画における数理最適化の実務に日々取り組んでいる。新規事業部の立川マネージャーから、量子技術を活用した数理最適化手法について情報共有があり、興味を抱いた。
      • 最初の取り組みとして、デスクトップリサーチで関連する論文を収集することとした。論文収集を通じて、送配電の運用計画における総コストの最小化を目的に、量子技術を活用した数理最適化手法の技術方針に関する仮説を立てた。
      • 上記仮説に基づき、上司である大谷部長へ相談し、プロジェクト化と部内予算の割り当てを提案した。
      • プロジェクト化と予算の割り当ての許可が出たため、山田マネージャーがプロジェクトマネージャーとなり検証を開始することとした。尚、プロジェクト実施に際しては、入社3年目の近藤担当がアサインされた。
      • 各種サービス利用の契約を行い、数理モデルの構築、イジングマシンでの計算に際するイジング模型への変換、イジングモデルでの実装、を繰り返し行い、運用計画の改善度合いについて検証を実施した。
      • これらの検証結果を報告書にまとめて、上司である大谷部長へ報告した。
       
  1. 数理最適化の初学者(入社3年目の近藤担当)
      • 近藤担当は情報工学系の修士課程を卒業しており、入社後は社内オペレーション改善プロジェクトにアサインされており、Python等の一定のコーディングスキルを有している。先月部署異動で山田マネージャーのチームに配属された。数理最適化の知見は有していない。
      • 業務にキャッチアップするべく、山田マネージャーのレクチャーの元、既に存在する数理モデルの目的関数、制約条件の特徴を理解しつつ、プログラミング上での数理モデル構築の業務を通じて知見を重ねていった。
      • また、量子技術を活用した数理最適化手法についても初めての取り組みだったため、山田マネージャーとともに手探りで情報収集しつつ、数理モデルの構築と検証を行なった。
 
  1. 管理職(大谷部長)
      • 新聞等を通じて量子技術の将来的な可能性は目にしており、新規事業部から情報共有もあったため、山田マネージャーから提案のあったプロジェクト化を了承した。
      • 山田マネージャーには、報告書作成に際しては、以下切り口で検証するよう指示を出した。
        • 既存手法に比べてどれだけ性能が向上したか
        • 導入することでどれだけの費用対効果が得られるか
        • 導入に際する運用コストと人的コスト(含む教育コスト)
      • また、大谷部長は社内のスマートシティ実現プロジェクトのメンバーも兼任していた。そのため、送配電の運用計画のみならず、スマートシティにおける建物の分散電源の制御、EV車両のバッテリーインフラにおける制御、コジェネレーションシステムでも適用可能性があると考え始めた。
      • 上記の個別プロジェクトの検証結果と、他領域への横断的な適用可能性を事業報告書まとめて、栗山執行役員へ報告した。
       
  1. 役員(栗山執行役員)
      • 社内の経営戦略として、デジタルシフトと新規技術を活用した事業機会の創出が優先項目の一つであるため、栗山執行役員が所管する事業ポートフォリオにおける、新規技術の適用可能性を模索していた。
      • 大谷部長から提出された事業報告書を確認し、量子技術活用の可能性について理解した。中田電力が保有する事業ポートフォリオに対する、量子技術のさらなる活用機会を検討するべく、以下切り口について検証することとした。
        • 量子業界の技術・市場トレンドの把握
        • 短期・中長期での事業採算性の検証