謹んで新年のご挨拶を申し上げます。旧年中は、株式会社Jijに多くの機会とご信頼をお寄せいただき、誠にありがとうございました。2025年、世界は生成AIを中心としたテクノロジーの激動の中で、「何を自動化し、何を人が決めるのか」が改めて問われた一年でした。私たちJijは、「社会を計算可能にし、人類の進歩に貢献する」というミッションのもと、研究開発で磨いてきた技術を、実際の現場で「業務」と「意思決定」を動かす力へ変えていく、大きな転換の一年を過ごしました。製造・エネルギー・物流・金融・公共など、さまざまな現場で、お客様・パートナーの皆さまと一緒に、新しい最適化プロジェクトに挑戦させていただきました。その一つひとつが、私たち社員一人ひとりの学びと自信になっています。本年は、これらを土台として、AI・最適化・量子の3つを統合した「AI-Centric」な基盤づくりへ挑戦してまいります。1. 最適化:JijZept Solver と JijModeling、そして AI-Centric への進化2025年、Jijは高性能数理最適化ソルバー JijZept Solver の正式版をリリースし、同時にクラウド無償版の提供も開始しました。Agility(実務解の高速計算)Usability(少ないパラメータでの実行)Versatility(LP/MILP/QP/MIQP/MIQCP 等への対応)これらを掲げ、大規模で複雑な実務問題に対して、独自のヒューリスティクスで高品質な解を短時間で返すソルバーとして、すでに多くのユーザーにお試しいただいています。👉 JijZept Solver プロダクトページ 👉 JijZept ドキュメント & チュートリアルJijModeling 2.0 と OMMX エコシステム同時に、数理最適化モデラー JijModeling は、「モデルと実データを切り離して記述し、OMMX を介してさまざまなソルバーに渡す」というコンセプトで進化してきました。2025年末には、次世代版である JijModeling 2.0.0-rc を公開しました。Elementの廃止、内包表記のサポート、型検査の強化などを含み、よりPythonicで直感的な記述が可能になっています。JijZept AI との統合:数理モデルを AI と共に創る2026年、Jijはこの JijZept Solver と JijModeling を、単なるツールではなく、AI-Centric な最適化基盤として再設計していきます。JijModeling × JijZept AIJijModelingの特徴である「モデルとデータの分離」「制約構造の記号的検出」を活かし、AI Agentがモデル構造を深く理解できる環境を構築します。これにより、「課題の言語化」から「数理モデル構築」までを対話的に行えるようになります。JijZept Solver × AI問題クラスやインスタンスの特徴を自動解析し、アルゴリズムやヒューリスティクスを動的に切り替えることで、「汎用ソルバーでありながら、専用ヒューリスティクスに近い性能」を目指す野心的な挑戦を進めていきます。JijZept AIは招待制β版として公開しています。ぜひ JijZept AI こちらからWaiting Listへご登録ください。2. Quantum:ハイブリッド環境と FTQC を見据えた AI-Centric なスタック次のステージとして、Jijは Quantum Computing のレイヤーでも、ハイブリッド環境と将来の FTQC(フォールトトレラント量子計算機)を見据えたソフトウェアスタックを構築していきます。Google DeepMindによる「AlphaQubit」の発表に加え、Google Quantum AIによる「Quantum Echoes」を用いた実験が世界に衝撃を与えました。この実験では、次世代量子チップを用いて検証可能な量子優位性(Verifiable Quantum Advantage)が実証されましたが、特筆すべきは、その量子回路の設計・最適化プロセスに AlphaEvolve をはじめとする LLM ベースの AI エージェントが深く介在していた点です。AlphaQubit: データ駆動型デコーダで量子誤り訂正性能を向上Quantum Echoes × AlphaEvolve: AIによる回路設計最適化が、量子優位性の実証を加速このように、量子の研究開発にAIが深く組み込まれていくことは、もはや必然の流れとなっています。量子↔Classical ハイブリッド環境のためのSoftware量子アルゴリズムを実用化するには、その前後を支える Classical / HPC 側のワークフロー設計が極めて重要です。Jijはあえてこの Classical 側 に注力します。前処理・後処理・補助的な数理最適化といった Classical パートを AI Native に記述・再利用できるツール群を提供することで、量子研究者が「量子アルゴリズムやデバイス物理そのもの」に集中できる環境を実現します。これを実現するために現在OSSで提供しているQamomileをさらに進化させJijZept Quantumのリリースを予定しています。量子誤り訂正:NEDO ポスト 5G での AI-Driven な基盤づくりJijは、NEDO(国立研究開発法人新エネルギー・産業技術総合開発機構)の「ポスト5G情報通信システム基盤強化研究開発事業」において、量子誤り訂正および緩和手法のデータ駆動型開発を加速するプロジェクトを主導しています。ここでは、量子デバイスの雑音・誤りをデータ駆動型で扱うための基盤(Q-DATAなど)を整え、デコードアルゴリズムの学習や雑音モデルの探索を研究者が素早く試せる「実験環境」の構築を進めています。👉 Jij ニュースリリース:NEDO事業への採択について3. JijZept AI:人と AI とソルバー・量子が共に考える「対話のOS」へこうした最適化・量子の基盤をつなぐ存在が、2025年末に招待制β版として公開した JijZept AI です。「数理最適化を導入したいが、モデル設計のハードルが高い」「専門知識を持つ人材が不足している」といった課題に対し、JijZept AI は 最適化AIアシスタント としてプロジェクトに伴走します。2026年、JijZept AI は以下のプロセスを一貫して支える、AI-Centric な「対話のOS」へと進化します。課題の言語化数理モデルの設計(JijModeling)ソルバー選択とチューニング(JijZept Solver)量子アルゴリズムの実験と解釈開発者の方々にはより高い抽象度での開発体験を。そしてノンデベロッパーの皆さまにも、自ら数理最適化を活用し、より高いレベルの意思決定ができる環境を届けていきます。👉 JijZept プラットフォーム詳細“社会を計算可能にし、人類の進歩に貢献する”Jijは創業以来、データ化・予測の先にある「計画(Planning)」のフェーズを、計算機で扱えるようにすることに注力してきました。サプライチェーン、エネルギー、金融など、社会インフラを支える多くの現場で、「その先の具体的な計画・意思決定」をコンピュータに任せる余地はまだ大きく残されています。私たちは JijZept プラットフォームを通じて、この計画フェーズを Computable にし、社会全体の意思決定を支える不可欠なインフラとなることを目指しています。2026年は、AI×最適化×量子を軸に、私たちのMissionを一歩具現化していく年になります。本年も、社員一同、技術の研鑽と誠実な事業運営に真摯に取り組んでまいります。皆様の益々のご発展を心よりお祈り申し上げるとともに、2026年も変わらぬご支援・ご指導を賜りますようお願い申し上げます。令和8年 元旦株式会社Jij代表取締役 山城 悠関連リンク一覧コーポレートサイト: https://www.j-ij.com/JijZept (数理最適化プラットフォーム): https://www.jijzept.com/Tech Blog (Zenn): https://zenn.dev/jij_incOpen Source (GitHub): https://github.com/Jij-Inc